25 Dec 2007

クリスマスマーケット / Christmas makerts in Frankfurt, Munich, Nurnberg

クリスマスシーズンはせっかくなのでクリスマスマーケットで有名なドイツ内をぶらぶらしていました。といっても直前の金曜日まで仕事でずっとイギリスにいたので、フランクフルト、ミュンヘン、ニュルンベルクを回っただけでしたが、素朴なクリスマスマーケットを、買い食いをしながら回っていて非常に楽しかったです。

フランクフルト・市庁舎前の広場
ミュンヘン・マーケットの入口

ニュルンベルク・教会前の広場

こちらでは家族で過ごすシーズンなので、ホテルはオフシーズン価格、イヴは2時に店が閉まるという状況で、日本の正月みたいにのんびりすることができました。結局25日は一歩も外に出ず、自宅で「フラガール」と「素晴らしき哉、人生!」を久しぶりに鑑賞しました。

「フラガール」は、女性が凛として立っている映画であり、プロジェクトリーダーの映画だと感じましたが、やっぱり蒼井優が素晴らしい。凛としていく役柄がはまっているなぁと感じました。余談ですが、公式HPの写真の2007.DEC.30thがこれまた素晴らしいです。写真集をAmazonで注文せざるをえないくらい刺さりました。舞台の「オセロ」も、日本にいたら見に行きたかったです。

「素晴らしき哉、人生!/It's A Wonderful Life」はフランク・キャプラ監督とジェームス・スチュワートのまさに名コンビが、単純な人生賛歌ではない、思い通りに行かないことばかりの人生の浮き沈みと、それでも人生を肯定するパワーを確認させてくれる素敵な映画です。何回見ても、ジェームス・スチュワートの絶望と希望の演技は素晴らしい。

「スミス、ワシントンへ行く/MR.SMITH GOES TO WASHINGTON」と並んで、ずっと棚に置いておきたい作品です。こっちは、蒲島先生の政治過程論の授業で見てから、ひとつの自分の原点になっている作品です。

ある意味、人生25年で一番クリスマスを楽しんだのではないかと。感謝感謝。

31 Oct 2007

なぜ「貯蓄から投資へ」

日本を出る際に、円資産を銀行口座に放置するのももったいないので、約4割を海外株式ベースの投資信託に換えてきましたが、1ヶ月で平均4%程度の基準価額の伸びを示しておりまずは順調でほっとしています(人生初のリスク資産購入)。

そこで、日本の個人金融資産に占める投資信託の割合が気になったので日本銀行の資金循環統計を見てみました。さあ、どれくらいの割合でしょう?
(ちなみに、2006年度末で総資産は1533兆円です。)

(1)1.5% (2)4.5% (3)8.2% (4)10.8%

正解は、(2) 4.5%(68.4兆円)でした。2000年度の2.4%(33.9兆円)からは年平均で12%超の成長を示し、6年で倍になっています。実は、2004年度段階でも37.9兆円までしか達していなかったのでここ数年で急成長したわけですね。トレンドは「貯蓄から投資へ」向かっているかというと、上記の投信とか国債とか2000年:10.1億円(全体の0.7%)→2006年:33.3億円(全体の2.2%))は確かにそうですが、現預金が占める割合は50%前後で推移しており変化が小さいですね。

個人金融資産に占める現預金の割合(出典:日本銀行 資金循環統計)

短期コールレートが1%を切り5年定期ですら金利1%を切り始めた1995年から10年以上たつのに、本格的な預金の流出すら起こっておらず、定期預金が流動性預金に移動したくらいなのは、日本人がエコノミクスを気にしない非合理な人たちだからではなく、日本における金融商品のサプライサイド・ディマンドサイドの双方についてボトルネックがある気がしてなりません。

労働力が減る国において、せめてお金に働いてもらわないといけないのに、それを銀行に丸投げというのではあまりにもったいない(銀行に勤めている友人の方々ごめんなさい、でもこれはどうしても言いたかった)。

お金至上主義とかそんな極端な主張をしているわけではなく、先日パリでストライキに出くわして大変だったときに、働くことを含めた生活することは社会の一部を構成しており、その一部が止まるだけで社会は簡単に回らなくなってしまうんだなぁと感じたことが結構起因したりしています。「金は天下の回り物」ではないですが、マネーフローに対して責任を持つのは、社会の構成員としての義務ではないでしょうか。

余談ですが、税金の行方に対しても感心が薄い(住民税で所得の1割近くを払っているのに投票率が30%とかの地方議会選挙ってどーゆーこと)のとかは、税金を現金納入すると同時に投票とかにすれば結構真剣味が増すのではないかと。札束で100万円くらいを持って投票しに行ったらもっと税金の使い道の透明性やバリューフォーマネーに対して敏感になるのではないでしょうか。

最後に、先日読んだ日経ビジネスのさわがみ投信代表のコメントを引用します。
『現預金はある意味『丸投げ』『無責任』なんですよ。自分の意思は何もない。』
『投資というのは、自分の夢や価値観に合わせて、自分のお金を投入するということ・・・(中略)・・・自分がどういう社会に住みたいのか、あるいは子供や孫たちにどんな社会を残してあげたいのか、そんな意思や判断や夢を投影させていくことになるんです。』
投資に対する思想がもっと語られるようになれば、少しは変わる気がします。

14 Oct 2007

Munich / ミュンヘン+ノイシュヴァンシュタイン城

ノイシュヴァンシュタイン城

高校時代の友人の推薦もあり、同僚とミュンヘンに行ってきました。写真は、観光地として有名なノイシュヴァンシュタイン城(ミュンヘンから3時間)を近くの超高い推定地上50メートル前後のつり橋から撮影したものです。手が震えてカメラを落としそうでした。

ミュンヘンで美術館を巡りながら一番気に入ったのはノイエ・ピナコテーク(新絵画館)で出遭ったFernand Khnopffという作家の

I lock my door upon myself (1891)
でした。写真もタイトルもちょっと暗い感じですが、実際にはもっと暖かみと深みのある色で、閉じた世界が閉じているがために持つようなぬくもりを感じました。

対照的にもうひとつ気に入ったのはPaul Gauguinの
Paul Gauguin. Te Tamari No Atua (Nativity).
Te tamari no atua (1896)

で、こちらはむしろタイトルの英訳がBirth of the Son of Godであるように、生が開いていく「世界」というものと、伴う消耗を感じました。

土曜日に城めぐり、日曜日は美術館めぐりでしたが、いかんせん市内にも近場にも行きたいところが多く、ここに拠点を構えている友人にも会いそびれたので、また来なければな、という感じです。

7 Oct 2007

Wiesbaden / ヴィースバーデン ビバ温泉

Wiesbaden

日本にいたときは月に1回くらいは広い風呂に入りたくなり、麻布十番銭湯、麻布十番温泉、江戸湯@両国、大江戸温泉物語(台場)、豊島園「庭の湯」etcにいろいろ行っていたので、1ヶ月バスタブなしの生活が続いていてお風呂にのんびり浸かりたくなり、カイザー・フリードリヒ温泉に行ってきました。(ちなみに上述の中では、2千円超と値段が少しかかりますが、本を2冊くらい
 持って1日のんびりするのに豊島園のスパはおすすめです)

ここまでを、人は言い訳と言います。笑

詳細な説明はこちらのサイトに書かれていますが、キーポイントはやはり「混浴」というところでしょう。結構びっくりしたことに同年代くらいの女性も数名いましたが、いかんせん堂々と真っ裸だししまいにゃカップルでいちゃついたりしているので、こちらもあまり気にせず真っ裸で歩き回ったりしていました。"When in Rome, do as the Romans do."ですね。

残念ながらお風呂の種類が2パターンと少ないのですがサウナは豊富なので、サウナに入って汗をかいては中央の冷たいプールで冷まし、また温度の違うサウナに入り疲れたら横になれるところで本を読み快眠・・・という感じで3時間くらい過ごしましたが、それでタオルレンタル込みで20ユーロ前後の値段はお得な感じでした。

次は温泉療養地として名高いバーデン・バーデンに行きたいものです。

3 Oct 2007

「私の言葉の境界が、私の世界の境界を意味する」

日経ビジネスオンラインを眺めていたら遭遇しました。

ヴィトゲンシュタインの、おそらく論理哲学論考の後半の一節だと思います。
久しぶりに読みたくなりました。

何はともあれ「私の世界」の外に存在する、神秘としての世界を楽しんでいます。
たとえ言語化することはできなくても、身体性を持った「私の世界」を。

27 Sept 2007

As Marvin said...

As Marvin Bower said:

"We are what we speak--it defines us--it is our image.We don't have customers, we have clients.We don't serve within an industry, we are a profession.We are not a company, we are not a business. We are a firm.We don't have employes, we have firm members and colleagueswho have individual dignity.We don't have business plans, we have aspirations.We don't have rules, we have values.We are management consultants only. We are not managers,promoters, or constructors."

A value-based organization should select, by nature, people to join or not by their personalities, i.e. values. It might sound severe, however this is the right way to be a "great" organization, according to the
book "Good to Great" by James C. Collins.

But, when it forgets or ignore its values, I think, is the beginning point to collapse. To build an enduring organization, the key for top managements therefore should be live its values. It's really what is
easy to say but hard to do.

Then, what do I believe in?
That is the question I need to find my own answer.

11 Sept 2007

男子の本懐(著:城山三郎)

男子の本懐 (新潮文庫)

日本の行く末を憂え、理想のための覚悟を伴った二人の国士の物語です。書名は打たれた直後に浜口御幸がこぼしたとされる言葉(史実かどうかは不明)ですが、この時代、今の時代から想定できないほどテロによる政治家の死亡が多かったとはいえ、殺されることを覚悟してでも成し遂げたい政策を持ち、死の瞬間までそれを追求できたことがある種の「本懐」といえるのではないでしょうか。

凶弾に倒れた浜口が回復まで至らず亡くなった際に盟友であった井上準之助が駆けつけ、それまで強面の切れ者として描かれていた井上が泣き出すシーンは、淡々と書かれているが故にもの哀しいものがあります。

政治は現実の国民を相手にする以上、どうしてもその時代の趨勢と世界・国内情勢に大きく翻弄され、志があっても全く果たせなかったり、あるいは手段自体が後世からみると全くの誤りであったり、あるいは志と全く逆のことでもそれをその時の国政に携わる者として呑み込まないといけなかったりと、政治家の人生はとかく理不尽なことばかりなのだと想像できます。前首相のように、何はともあれ一念を通しきることができた政治家は、極めて希でしょう。能力と幸運、どちらが欠けても優れた政治家-物事を実現するという意味での-とはなり得ないのでしょう。

9 Sept 2007

Mintz / マインツ

フランクフルトから電車で1時間弱くらいの、マイン川とライン川が合流する町マインツまで行ってきました。あいにくグーテンベルグ博物館には行けませんでしたが、シャガールが手がけたという素敵な青色のステンドグラスのある教会でぼんやりとしてきました。写真はそのステンドグラスを写したものです。

Stained glass by Chagall

キリスト教徒ではないのですが、前にポーランドに行ったときに気づきましたが教会は思索にふけったりぼんやりとする場所として個人的には結構好きです。密閉された聖なる場所としての静謐な感じがは、日本の神社や寺院とはまた違った形で世俗からの距離を感じさせてくれます。

Economics: Making Sense of the Modern Economy

日本を出て10日が過ぎました。とりあえずはのんびりやっております。

Economics: Making Sense of the Modern Economy (The Economist)


やはり、The Economistの英語は非常に勉強になります。例えば
"Limited government, to be sure, is not necessarily clean; but unlimited government, history suggests, never is."
"Governments have the power, all right, but they do not always exercise it wisely. They are unreliable servants of the public interests."
とか、"Government governance"あたりに問題意識が強い自分に刺さるようです。

The Economistは、経済思想的にはlet global finance, product, labour markets work without government interventionとでも言うべき典型的な新自由主義のポジションでしょうが、政治思想的にはリバタニアリズムが近いかと捉えます。普段の記事は署名記事ではなく、雑誌として一貫性を保とうとしているのも特徴と言えるでしょう。

27 Aug 2007

海外勤務

水曜日にドイツに発ち、おそらくヨーロッパを主として1年間海外で働きます。

決断に至るまでは色々な要素が左右しているのですが、正直な気持ちで言うと
 「広い世界が見たくなった」
と表現するのが適切かもしれません(いや勿論キャリア上の云々とかもあるけど)。

こちらのブログは、引き続き不定期に更新していこうと思います。

25 Aug 2007

映画感想:SiCKO

「シッコ」を見てきました。

「ボーリング・フォー・コロンバイン」や「華氏911」と比べると、ユーモアや批判精神を抑えめにして、比較的落ち着いたスタンスからアメリカ合衆国の医療保険制度に対して「なぜ我々もできない?」を考えさせる、良質のドキュメンタリーでした。

偏向的という批判は、それがメディアの本質である以上的を得ていないでしょう。現実の一部を切り出して、並べ替え、伝えたいストーリーを作り出す。こう書くと手法そのものは変わっていないのですが、マイケル・ムーアが世界(あるいはUSA)をどう見るか、が大きく変わったことが映画にも反映されている気がします。

一度人々に絶望し、それでも希望を持って闘おうと思ったんじゃないかな。なんとなくですが。

21 Aug 2007

Management

人が見たがらないものを直視する意志と、人が見えない未来を描く想像力。
そして、それを多くの人に伝え納得を得る力。

サウイフモノニワタシハナリタイ


3 May 2007

九十九里浜

九十九里浜から望む日ノ出

自転車(ママチャリ)で九十九里浜まで行ってきました。やればできるものです。

22 Apr 2007

港区議会議員選挙

速報ベースで、20時確定で投票者数56420(36.14%)だそうで、一方で、
立候補者51名、議員定数34名です。

公職選挙法95条3項によると、地方議会の議員の最低得票数は
「3.地方公共団体の議会の議員の選挙
 当該選挙区内の議員の定数(選挙区がないときは、議員の定数)をもつて
 有効投票の総数を除して得た数の4分の1以上の得票」
なので、全部有効投票だと仮定しても415票以上取れて、かつ上から34番目
に入っていれば当選します。

ただ、80-20を仮定して、立候補者の2割の10名が投票数の8割の45136票を
取ると想定すると、残りの投票数を41名で割ると平均は275票になるので、
相当程度に投票先が分散することを前提としているようです。単純平均
でも1106.3票となりますが、51名中の34番目の得票数を考えると、現実的
最低ラインは600票から800票くらいなのではないでしょうか。

22時半段階での予想でした。
区議会議員ってなるだけなら結構現実的な職業なのかもしれませんね。

20 Jan 2007

To be mature

"If I could define being mature as being aware that my past mistakes cannot be recalled but nevertheless still being determined to go forward, I can say I'm mature somewhat."

13 Jan 2007

プロフェッショナル原論(著:波頭亮)



経済的価値が優先される社会において、プロフェッショナルが生きる道を説いた本
です。薄く、表現は平易に書かれているので非常に読みやすいです。筆者は経営
コンサルタントですが、医者や弁護士などプロフェッショナルとされる専門的な職
の方々だけではなく働いている方全般に是非読んで欲しい本だと思います。

本の中では、ナイーブと言われても愚直にプロフェッショナルとしての倫理と掟を
守る姿が理想像として描かれており、全くもって同意します。筆者が挙げる掟は5つ
の要素から構成されています。
 1)Client interest first
 2)Output oriented
 3)Quality concious
 4)Value based
 5)Sense of ownership
まとめると、「クライアント(≠お客)へ最高品質の価値を実際に提供すること、
そしてそれを個人自らの責任として負う覚悟を持つこと」ということでしょう。

ある友人が「禁欲的な思想交流なり、互いの山への敬意なりが、孤独を耐えるひとつ
の明晰な手段なのではないか」と言っていました。
このようなプロフェッショナルの掟を自らに課し続けることは、孤独を受け入れて、
自覚的かつ選択的にいばらの道を独り裸足で歩むことでしょう。そしてその孤独と
痛み(孤独感)を受け入れるには、同じ道は歩けないけれども、同じように自覚的
かつ選択的に別のいばらの道を歩く人との交流が、自分の足を止めないでくれて
いるだと思います。
一方で、孤独という事実から来る孤独感を埋めようとする作業として、何か/誰か
と物理的/精神的に一体であるという幻想に浸ろうとするわけですが、僕はそれら
行為を否定するつもりはありません。
自分がどうしても「距離感のないキモチワルサ」を感じてしまう人間である以上、
決して孤独感が埋まりきらないことは分かっていても、自らの孤独のスタビライザー
として、余りに空しさを感じない範囲に於いて、自分の歯車を回すための潤滑油に
なっていると考えます。
生きていく上で、孤独という事実に気付いて受け止めようとする人にとっても
 "Remember no man is a failure who has friends."*
なのではないでしょうか。痛みを忘れたいときでも、痛みを感じている時でも。
*It's A Wonderful Life(邦題:素晴らしきか哉、人生!)より